2022.07.08
(かもがわ出版、2022 年、2000 円+税)
「居場所」という概念が普及し始めたのは、1980 年代半ばのフリースクール運動からだと言われている。1990 年代以降、文部科学省においても、不登校(登校拒否)の急増を受けて、「居場所」概念が用いられるようになるなど、子ども・若者に関する様々な実践・政策・研究において、「居場所」概念は広がり活用され今に至っている。
しかし、そうした広がりのなかで(とくに政策化されるなかで)、当事者である子ども・若者にとっての本来の「居場所」の役割がゆがめられているのではないか。また、現代社会の変化のなかで、子ども・若者の「居場所」はさらに失われているのではないか。そうしたなか、「居場所」についてどのように考えればいいのか。
長年、子ども・若者の「居場所」の様々な現場に通い、社会教育・福祉の観点から研究を行ってきた著者が提起する問いは、これまでの「居場所」に関する運動・実践・政策、そして研究を問いなおすという射程を備えている。そして、この問いに対して展開される議論は、子どもの育ちと、それに対する大人の関わり方・社会のあり方を軸としながら、様々な具体的なトピック(著者自身の経験を含む)に基づいてなされており説得力が高い。
(桜井書店、2023 年 7 月、税別 4500 円) 昨年の『「ドイツ・イデオロギー」の研究』につづく著者渾身の力作。〈Gemeinde=共同体〉と〈Gemeinwesen=共同社会〉との一筋縄ではゆかない区別をふ […]
(農林統計出版、2021 年、税込各 3850円) 上下2巻からなる本書は、5年間にわたって『現代人間学・人間存在論研究』誌に掲載されてきた著者の考察が、その骨格をなす。長大な論述はとうぜん多岐にわたるが、著者は現代社 […]
(藤原書店、2022 年、各巻税込 3960 円) I「ショーペンハウアー」、II「自己格闘者ニーチェ」、III「マンとハイデガー」という3巻本で、3巻通しで 1121 頁になる大著である。1996年に『〈受難した子供 […]