2023.03.10
(かもがわ出版、2022 年、2700 円+税)
本書は、喫緊の解決すべき全地球的な課題であり、しかも子どもたちがもっとも影響を受ける気候変動に対し、私たち大人が責任をもって対処していくべきだという前提から、3部11章の構成で論述が進められる。第I部では、気候変動の概観と国際的な取り組みの経過(第1章)、気候変動が子どもの権利にどう影響するか国連の機関の示す脅威(第2章)が明らかにされる。
第II部では、「着るもの」(第3章)、「食べもの」(第4章)、「建てもの」(第5章)、「使うもの」(第6章)という日常的に私たちの消費するものがいかに気候変動に影響を与えているか、また子どもの日常や発達に影響するかが検討される。その上で第7章では、気候変動を克服するための教育として、たとえば学校教育における「環境」の授業の必修化などが提言される。第III部では、大量生産・大量輸送・大量消費を基調とする資本主義の批判的検討が、気候変動に大きな影響を与えつつ子どものいのちをも脅かす自動車(第8章)、子どもを標的にする産業(第9章)、長時間労働(第 10 章)の諸観点からなされていく。そして最終章では、10 章までの考察をふまえた上で、筆者が望ましい社会として提起する「懐かしい未来」という考え方を軸に、様々な環境思想をふまえつつ社会変革のための輪郭が描かれる。気候変動問題の基礎を知りたい、背景を知りたい、オルタナティブな社会を考えたいという方にとって、必読の書である。
(桜井書店、2023 年 7 月、税別 4500 円) 昨年の『「ドイツ・イデオロギー」の研究』につづく著者渾身の力作。〈Gemeinde=共同体〉と〈Gemeinwesen=共同社会〉との一筋縄ではゆかない区別をふ […]
(農林統計出版、2021 年、税込各 3850円) 上下2巻からなる本書は、5年間にわたって『現代人間学・人間存在論研究』誌に掲載されてきた著者の考察が、その骨格をなす。長大な論述はとうぜん多岐にわたるが、著者は現代社 […]
(藤原書店、2022 年、各巻税込 3960 円) I「ショーペンハウアー」、II「自己格闘者ニーチェ」、III「マンとハイデガー」という3巻本で、3巻通しで 1121 頁になる大著である。1996年に『〈受難した子供 […]