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意見表明

2017.11.11

「安全保障技術研究推進制度」(軍学共同政策)を拒否し、平和と民主主義に基づく健全な学術の発展を追求する

唯物論研究協会第40回総会

 自公連立政府が推進する「安全保障技術推進制度」は、防衛省の提供する予算規模を2015年度3億円、2016年度6億円、そして2017年度110億円と急増させ、大学や民間の研究機関を「デュアル・ユース」という名目で軍事に転用可能な技術研究に動員する軍学共同政策である。その一方で政府は、2004年度以来国立大学等の基礎的運営費を毎年1%減額し、「競争的資金」の確保を強い、苦境に陥った教育研究機関を軍事研究へと誘導している。この軍学共同政策は、まさしくこの間の秘密保護法、安保法制、共謀罪の制定等と軌を一にする日本の軍事大国化路線の学術版であり、私たちはこれを容認しない。むしろ、以下の点にかかわってその問題性を明らかにするとともに、同政策の廃棄と健全な学術研究の発展 に向けて政策転換を要求する。

 第一に、この軍学共同政策は、今年3月の日本学術会議の「軍事的安全保障研究に関する声明」でも述べられる「将来の軍事装備開発」につながり、政府・防衛省による研究介入、研究者の研究方向や機密保持への介入が著しく懸念され、学術の自主・民主・公開の原則を破壊する。それは大学や研究機関の発展や研究者の成長に相反する「緊張関係」を生み出す。

 第二に、わが国は戦前の軍事体制による侵略戦争の誤りや核兵器の惨禍などの苦い経験の中から、日本国憲法の前文や第9条で、人類の平和とともに歩む民主国家を宣言している。今日、核の脅威の増大、国際紛争やテロリズムの頻発の中で、国内外の平和と安定が重大課題となっているが、日本政府の政策はむしろこれに反して、第二次大戦期と同方向の無謀な軍事強化路線を歩んでおり、国際社会の不安定と国内に暮らす人々の困難をさらに助長することになる。

 第三に、戦後、わが国の学術・研究者は軍国主義ファシズムのもたらした惨禍を反省し、「戦争を目的とする科学の研究」は行わないことを宣言してきた(日本学術会議第6回総会声明「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」、1950年4月28日)。しかし、こうした精神も「文系不要論」のように露骨かつ巧妙な誘導によって攻撃にさらされる中で、私たちが必ずしも、これに効果的に対処し、反撃できていないことも事実である。この点で、学術・研究者だけでなく多くの人々に政府の軍学共同政策の問題性をアピールしてその問題性を明らかにするとともに、学術の本来あるべき社会貢献の方向について、広範囲の共同論議を促す必要がある。

 私たち唯物論研究協会は1978年の発足時より、かつての軍事国家による学術の歪曲と私たちの協会の先達への言論・思想弾圧が、同時に国内外に途方もない惨禍を生むことを深く心に刻み、平和と民主主義の原則にもとづく学術の健全な発展を希求している。政府の軍学共同政策が過去の過ちを繰り返す危険な道であるがゆえに、ここに私たちは同政策の廃棄にむけ努力することを宣言する。

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